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  • モーダル試験におけるサポート方法

    2025.03.01

モーダル試験におけるサポート方法

1. 試験対象構造のサポート方法

試験対象の構造は、「プロトタイプ(実物)」と「モデル(縮尺モデル)」に分けられます。
既存の構造で特に特殊なものではない場合は、実物を使用して試験を行うことが可能です。一方で、設計段階の構造や、超大型・超重量・超小型・超軽量の特殊な構造については、モデル試験のみが適用されます。
モデルを用いる場合は、「幾何学的な相似性」だけでなく「動的な相似性」を考慮した相似則に基づいてモデルを作成する必要があります。

プロトタイプ試験でもモデル試験でも、「試験対象構造の境界条件」は重要な要素であり、異なる境界条件によって構造の特性が大きく変化します。
例えば、自由梁、片持ち梁、単純サポート梁では、それぞれ振動特性が大きく異なります。そのため、「試験対象構造の境界条件を正確に再現する」ことが求められます。

機械的観点から、境界条件は以下のように分類されます。

  • 「幾何学的境界条件」
  • 「力学的境界条件」
  • 「運動学的境界条件」

モーダル試験において最も影響が大きいのは、「幾何学的境界条件(試験対象構造のサポート条件)」です。サポート条件には、主に以下の3種類があります。

  • 「自由サポート」
  • 「剛性サポート」
  • 「実装サポート(実際の設置状態に準じたサポート)」

試験対象の構造が「完全な状態で試験できる場合」は、モーダル試験においても「実際の作業環境を再現することが基本原則」となります。
一方、モーダル合成法を用いて試験対象構造を部分構造に分割して試験を行う場合は、境界条件はモーダル合成法の要件に基づいて決定されます。

2. 自由サポート(フリーサポート)

一部の振動構造は「自由状態で動作」します。例えば、航空機・ロケット・ミサイル・人工衛星などの「空中を飛行する構造物」です。
このような構造の「全体モデル試験」を行う際は、自由境界条件を再現する必要があります。

しかし、「完全に自由な拘束状態を実現することは困難」です。そのため、使用するサポートは「できるだけ柔らかいもの」、つまり剛性と減衰が低いものが求められます。このようなサポートを「自由サポート(フリーサポート)」と呼びます。

代表的な方法には以下があります。

  • 「ゴムロープによる懸架」
  • 「バネ懸架」
  • 「エアクッションサポート」
  • 「エアスプリングサポート」
  • 「コイルスプリングサポート」

3. 剛性サポート(リジッドサポート)

剛性サポートは、「構造が強固な拘束を受ける場合」に使用されるため、「固定拘束サポート」とも呼ばれます。
例えば、「高層ビルやダムのモデル試験」では、剛性サポートが必要です。また、「剛性基盤を持つ多くの機械構造」も、剛性サポートを用いるべきです。

剛性サポートを適用する際には、サポートが十分な「剛性と質量」を持つことが重要です。これにより、試験対象構造の「高次モードへの影響を低減」できます。
一般的な基準として、「試験対象のサポートシステムの最低固有周波数が、対象構造の最高固有周波数の3倍以上」であることが推奨されます。

剛性サポートは、モーダル合成法を用いて「部分構造のモーダル特性を研究する場合」にも使用されることがあります。

4. 実装サポート(実際の設置状態に基づくサポート)

実装サポートは「最も一般的に使用されるサポート方法」であり、実際には「自由サポートと剛性サポートの特殊なケース」とも言えます。
完全な構造の場合、「実装サポートが最適な境界条件のシミュレーション」となります。

「現場でのモーダル試験」では、「実際に設置された状態」がそのまま最適な実装サポートとなるため、変更せずに使用するのが理想的です。
一方、「実験室での試験」では、可能な限り実際の設置条件を模擬する必要があります。例えば、「地面に置かれる構造(自動車など)」は、実験室でもそのまま地面に置いて試験を行うことで、実際の境界条件を適切に再現できます。

まとめ

上記の「3つのサポート方法(自由サポート・剛性サポート・実装サポート)」には、優劣はなく、試験対象や目的に応じて適切な方法を選択することが重要です。
完全な構造の試験では、できる限り実装サポートを用いることが最適とされています。

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